先日、藤沢和樹さんの「日本人がグローバル資本主義社会を生き抜くための経済学入門」という本を読みました。
本の中で、「整理解雇の4要件」という正社員の解雇規制について書かれています。
簡単に言えば、
「日本は正社員の解雇にはとても厳しい国で、相当な理由がない限り解雇はできない」
というものです。
これは、昔の判例で決まったことで、「正社員だと安心」という風潮の1つの理由なのだと思います。
そこで本日は、コロナショックの影響もあり、日本の雇用はどうなるか?について、関心が高くなっている人もおられると思いますので、「整理解雇の4要件」について簡単にまとめます。
昨日知ったことを、あたかも俺は10年前から知ってたぜ!知らなかったの君?というスタンスで話します。
Contents
正社員をクビにできない理由
整理解雇の4要件について↓
・解雇を避けるために努力をした
・人選が妥当である
・従業員に十分に説明している
では、1つ1つ詳しく触れていきます。
経営上の必要性がある
「社員のクビを切らないと会社が倒産してしまうほど、経営が逼迫している状態」を指します。
最初からハードルが高すぎますね。
「赤字でやべえ」「経費削減して〜な〜」
だけでは、正社員をクビにすることはできません。
コロナショックにより、多くの会社経営が危険な状態になるのでハードルは少し下がりそうですが、ぶっちゃけた話、優良大企業に正社員で入ってしまえば、よっぽどの背任行為がない場合、クビを恐れる必要はありません。
解雇を避けるために努力をした
ここでいう解雇を避けるための努力とは、正社員の解雇をする前に、
「新卒採用の人数を減らす」
「契約社員の整理」などの努力をしていたか、を指します。
非常に驚くべきことかもしれませんが、日本の裁判所は正社員の解雇を考える前に、
・「新卒を採用しない」
・「契約社員を解雇する」
ことを推奨しているのです。
その他にも、早期退職の募集だったり、出向だったり、コストを減らすための部署異動など、解雇という選択を取る前に、その他の策を講じたかどうかが問われます。
これで、各企業が早期退職を実行することや、謎の配置転換に納得がいきますね。
そして残念ながら、全く働かない50代の社員を切り、同じコストで新人を3人雇いたくても、使えないベテランを守ることが優先されてしまうのです。
若い人は苛立ちを覚えるかもしれませんが、なんとこれが事実なのです。
人選が妥当である
というのは無理です。
一般的には、
・企業の再建、維持のために貢献することの少ないもの
・雇用契約において、企業の帰属性が薄いもの
と考えられています。
会社の仕事に注力せず、自分の副業を優先したりする人などが該当しそうですね。
従業員に十分に説明している
こちらに関しては、正社員を解雇する前に、クビにする社員に対して、十分な説明をしているかどうかです。
いかに大変な状況になっているかを説明しなければならず、いきなりクビを切ることはできません。
「気に入らない」ではクビにできない
補足的になりますが、社員の解雇は「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる」場合でなければ、解雇することはできません。(解雇権濫用法理、労働契約法16条)
あいつは気に入らないから、仕事ができないから、という理由だけではリストラすることはできません。
会社が「こいつ、使えないな」と思ったら、早期退職や配置転換など、なんらかの形で処置が取られますが、解雇することはよっぽどのことがない限りでは無理です。
過去に高知放送事件という判例でも、会社側は負けています。(ニュースに寝坊し、放送中止。2回も)
このため、リストラは会社にとって相当ハードルが高いものなのです。
最後に
資本主義経済では、労働者は資本家に搾取される仕組みが出来上がっていますが、司法という面ではある程度、労働者は守られています。
整理解雇の4要件を知り、優良大企業に入ってしまえば、ほぼクビにならないじゃん!ということを知りました。
それにしても大企業の早期退職が始まり、「大企業はオワコン!?」と言われていますが、まだまだ大企業ってすごいですよね。
大した野望もなく、とりあえず安定を求め、やりがいを求めずに変化のない毎日に妥協するだけで、身の安全がまだまだ保証されていますから。
しかし、2020年度4月より同一労働同一賃金という制度が始まりました。
コロナショックに話題が持っていかれているため、話題にはなりませんが、今後少しずつ正社員にもメスが入れられてくるのかなと思います。
しかも、今後の経済は停滞するのが明らかなので、正社員にも給料減額や早期退職など、何らかの措置をとる可能性も高いです。
まあでも、今勤めている会社の未来は誰にも分からないので、備えておくことも必要かもしれませんね。
平々凡々の1会社員が、自分の手で人生を切り開き、経済的自立を達成するという意志の元、「コントラクトMR×副業」という働き方を提唱するべく、情報発信をしています。
少々長くなりますが、下記記事に自分自身の理念や想いを書いています。
よろしくどうぞ。